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第十一回放送 SAPPUKEI (全5話)

【1】SAPPUKEI 殺す風景

メジャーアルバム2枚目SAPPUKEI。殺風景、其れ即ち殺す風景。「殺す風景とは何か?」を考えた先に辿り着いたのが、このミニマリストなジャケットでした。

ラフ案①

ラフ案②

ラフ案③ メインカラーは「黒」で決めていた。ジャケットイメージは「ハードなロックアルバムに見えるような感じ」というだけの漠然としたテーマしかなかったので、まずはキッカケになるかどうかもわからんラフを作ってみた。(三栖)

ラフ案④

ラフ案⑤ まったくピンとこないものを作った中で、向井絵の後ろ姿の女の子の絵を使ったものだけは、やりようによってはどうにかなりそうな雰囲気を感じた。(三栖)

コピー文字素材をあれこれ置き位置を探ったが、文字全部外したら「これだ」と思った。女の子の絵の位置どりは、絶妙にな場所に置くことができた。地色の「黒」は、黒インクの一色(図左)ではなく、青を足して(C100%+K100%)「青黒」(図右)にした。(三栖)

帯+バックトレー

帯、青黒。バックトレーは切り貼りしてコピーをかけた文字素材をガタガタに並べた。(三栖)

地色も青黒だが、コピーでザラついた素材を組み合わせて、よりアナログ的に見えるようにコピーした紙質を加えた。(三栖)

東芝EMIオリジナル版の帯が付いた実物。帯に必要最低限の表記を下部に小さく入れた以外は何の文字要素は無い。まさにSAPPUKEIなジャケットだ。(三栖)

【2】SAPPUKEI BRUTAL NUMBER GIRLからURBAN GUITAR SAYONARAまで

アルバムSAPPUKEIは、一曲ごとに ビジュアルがそれぞれ個別に作られています。今放送はその全てのページがいかに発想して作られたのかを一曲ずつ解説していきますのでCDブックレットのページをめくりながら聴いていただくのがおすすめです。まずはBRUTAL NUMBER GIRL、ZEGEN VS UNDERCOVER、SASU-YOU、URBAN GUITAR SAYONARAの4曲を続けて。

1-表4 表4側の左下に『URBAN GUITAR SAYONARA」の時に使用したやるせなきおを配置。配置の理由は「置きたかった」。(三栖)

1P-2P「BRUTAL NUMBER GIRL」最初のこの曲は2ページ使っている。左ページは太ゴシック体のコピー曲名のみで、右に向井手書き歌詞。歌詞の下に配置している「ポンチ絵」は、このジャケ制作中にササッと向井が書いた。(三栖)

3P「ZEGEN VS UNDERCOVER」左上に手書き歌詞とゴシック体を組み合わせで配置。下の数学の問題のような図形や棒グラフは、意味不明な図案を配置する事で「奇妙さ」を出す狙いもあった。(三栖)

4P「SASU-YOU」『ZEGEN VS UNDERCOVER』のページで「遊び」をやったこともあり、『SASU-YOU』は文字をガタつかせるだけに留めた。(三栖)

【3】SAPPUKEI ABSTRACT TRUTHからU-REIまで

SAPPUKEI編 第3回はABSTRACT TRUTH、TATTOOあり、SAPPUKEI、U-REIの4曲。途中、とあるアーティストの意外な素顔や東芝EMIでの三栖さん達の作業風景が垣間見えたりします。

5P「URBAN GUITAR SAYONARA」素材としてあったドラムセットの写真をコピーでモノクロにして色を全塗りしないでランダムに塗った。シングルで使ったカラフルタイトルをを上部に配置。歌詞は向井手書き歌詞を使ったが、見えずらかったのでアウトライン(黒いふちどり)を付けた。(三栖)

6P「ABSTRACT TRUTH」地色は黄色でタイトル文字は緑、配色の理由は「こんな感じで」。歌詞はアーバンから引き続き向井手書き文字とゴシックフォントを混在させる手法にした。(三栖)

7P-8P クレジットページ 一般的にクレジットページはブックレットの最後にあるものだが、あえてブックレットの真ん中のページにした。タルボックスで撮ったメンバーとデイブの写真を一旦コピーし、くすんだ色を付けた。古い家族写真のノスタルジックな感じと、少し怖さを感じるような雰囲気にした。右端に別パターンのやるせなきおを配置した。(三栖)

9P「TATTOOあり」向井手書き歌詞をそのまま使用。色のみ地色黒(赤黒 K100% M100%)、文字は赤。でサッと決定。(三栖)

10p「SAPPUKEI」タイトル文字をジャケと同じコピー文字を使用。「殺」のみ向井手書き文字を使い赤で塗りつぶし強調する。歌詞はゴシック体をガタつかせるだけに留めて「殺」の印象を弱くしないようにした。(三栖)

【4】SAPPUKEI YARUSE NAKIOのBEATからBRUTAL MAN、そして太陽を盗んだ男

曲ごと解説も大詰め、YARUSE NAKIOのBEAT、TRAMPOLINE GIRL、BRUTAL MAN等のビジュアル作りも佳境に差し掛かった頃、三栖さんは忘れられない体験をします。

11P「U-REI」東芝ビルの向かい側のビルで残業しているサラリーマン達が見えた。「あれ曲のイメージと合うぜ」「写真撮って使おうぜ」。社内にあった一眼望遠レンズカメラで撮影。断りもなく使用。夕暮れ時の曲だが、赤やオレンジではなく緑を使った。理由は「夕暮れ時のオセンチ気分を歌っているだけの曲じゃない」からだ。(三栖)

12P「YARUSE NAKIKO の BEAT」縦書きで向井手書き文字と明朝体を混在させる。字面だけじゃなく何か図案がねーかと考え、再度「ポンチ絵」や「風刺画」的なものを配置するアイデアが浮かぶ。その場で向井がサササッっと書いた。(三栖)

13P「TRAMPOLINE GIRL」『SCHOOL GIRL BYE BYE』的なNUMBER GIRL初期のイメージにしようと思った。アーバンからのイメージもあったので、『SCHOOL GIRL BYE BYE』と『URBAN GUITAR SAYONARA』の合いの子のようなイメージとなった。(三栖)

14P「BRUTAL MAN」タルボックススタジオ周辺の雑木林の写真をコピーして使用。タイトル文字は1曲目の「BRUTAL NUMBER GIRL」と同じくコピーした太ゴシックを配置。歌詞は向井手書き文字のみ。殺伐感を出しながらも、学ラン男を配置。「こいつアメリカまで来とる」と思うと笑える。(三栖)

 

ジャケット制作作業を夜通ししていた深夜、テレビからこの映画が始まった。おもしろくて作業している手を止めて見てしまった。そのせいで2時間ほど作業が中断した。(三栖)

 

【5】SAPPUKEI SAPPUKEIというアルバム

最後は宣伝や特典用に作ったポスターの話や、「Sappukeiっていいアルバムだよね」という話。

『SASPPUKEI』リリース告知広告の基本的なデザイン。(三栖)

 

リリース告知に徹したデザインパターン。日本に戻ってきてから撮ったアー写を使い、古いシリアスな日本映画のポスターのようなデザインにした。(三栖)

 

日本映画のポスター風の広告に続いて、全英語で外国映画のポスターのようなデザインをやってみたかった。特典なのでジャケのイメージと連動したデザインでなくても良いと思い、タイトルフォントも含め、ほぼ私的に作った。(三栖)

 

レーベル面 ジャケットと同じく「青黒」にした。タイトル、バンド名はあえて日本語にし、配置も空間の面積を多くしてSAPPUKEIに見えるようにした。(三栖)

 

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